お知らせ イベントレポート
カレーなるスパイス・オブ・インサイト The “Curryful” Spice of Insight ~カレーとイノベーションの美味しい関係~を開催しました
◾️イベント実施概要
◯イベント名:カレーなるスパイス・オブ・インサイト The “Curryful” Spice of Insight
~カレーとイノベーションの美味しい関係~
◯日時:2025年1月22日(水) 10:30~13:00(受付開始 10:00)
◯会場:名古屋大学内『TOIC NAGOYA』
◯登壇者:名古屋大学大学院人文学研究科 附属人文知共創センター 准教授・岩崎陽一先生
◯プログラム内容:
・注意事項
・TOIC NAGOYA 概要紹介
・主催者挨拶・イベントの主旨について
・岩崎先生ご講演
・記念写真撮影
・ランチ交流会&質疑応答「教えて!岩崎先生」
◾️イベントの様子
〇TOIC NAGOYA渾身の新企画。『アカデミア×カレー』 !?
カレーの日である1/22に、『アカデミア×カレー』をテーマとするTOIC NAGOYA渾身の新企画がスタート!
その名も『カレーなるスパイス・オブ・インサイト The “Curryful” Spice of Insight 』。
記念すべき初回の主題は、〜カレーとイノベーションの美味しい関係〜について。
講師にインド哲学研究者の岩崎陽一先生(名古屋大学 大学院人文学研究科 附属人文知共創センター 准教授)をお招きし、
カレーにまつわるインド哲学のお話をたっぷりと聞かせていただきました。
岩崎先生のご講演後は、イベントと同時出店のキッチンカー『カリーガール』(出店:The CAFE / eat salon)のカレーをお召し上がりいただきながら、
参加者の皆さん同士の交流や岩崎先生への質疑応答を楽しんでいただきました。
◯TOIC NAGOYA 概要紹介
喜ばしいことに、本イベントを機に初めてTOIC NAGOYAへ足を運んでいただいた方も多く、
改めてTOIC NAGOYAについての簡単なご紹介をさせていただきました。
概要紹介のパートでは、TOIC NAGOYA施設概要、趣旨、およびTOIC NAGOYAの会員になると、
どんな使い方をすることができるのかをご紹介いたしました。
◯主催者挨拶
主催者挨拶として、名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 URAの沖原より、
本イベントの趣旨、実施の背景についてお話をさせていただきました。
オープンイノベーションは、まったく違う考えや背景を持った人たちが集まって、和気あいあいと交流するところから生まれるのではないかと思っています。
オープンイノベーションにおける、大学の研究成果や設備等の活用については、難しいイメージを持たれがちで、一歩踏み込みにくいところがあると思いますが、
こういった『カレー』や、皆さんになじみの良い、キャッチーなものと組み合わせることで最初の一歩を踏み出していただくきっかけになれば嬉しいです。
名古屋大学にキッチンカーを出したいお店や、今回のイベントの実施にあたりインスパイアを受けた本を紹介してくれた方など、様々な方とのつながりと、
TOICで実施するにあたり『アカデミア』の要素を掛け合わせたことで、今回の他には無い様なユニークなイベントが発足しました。」
と、オープンイノベーションにおいて、全く異なるバックボーンを持った人々が集まることの大切さと、
様々な方々とのつながりから発足した、本イベントの実施の背景をご紹介いたしました。
◯岩崎先生ご講演タイム『おいしいカレーは力を合わせてつくるもの』
さて、ここからは皆さんお待ちかねの岩崎先生ご講演タイムのご様子をお届けします。
講義が始まるかと思いきや…
ターバンを巻いたお姿で、インドの豊穣の女神・アンナプールナーの賛歌を披露する岩崎先生。
インドでは、スピーチをする前には賛歌を詠む習慣があるのだと教えていただきました。
4部構成の本講演の第1章は、インドの演劇論の始祖・バラタ仙のお話から『感動』を紐解きました。
感動とは、舞台芸術作品の「味わい」を観客が楽しむこと。
その味わいは、作品の中に描かれる、感情を誘発する表現、感情の結果として身体などに生じる現象、
そして、なくてもよいけれど、あったほうがより効果的に味わいを演出することができる変動要素。
この三つが作品の基調となるテイストと結びつくことにより成立します。
それはまるで、様々な調味料、それからハーブ、そして食材、それらが結びついて味わいというものが成立する「食べ物」・・・まさにカレーのようです。
続いて第2章では、料理をすることで、
インド哲学の目標とする解脱を達成することができるのか?を考えます。
岩崎先生は、家族のためにカレーを作るなかで、自分が作りたいカレーと、
家族から望まれるカレーが異なるという、思い通りにならない経験をします。
「行為の結果を期待しないこと」。
聖典バガヴァッド・ギーターは、目的をもたない行為への専心を教えます。
料理は高い儀礼性と義務性を持っており、没入しやすい。
結果を期待せずに料理に没入することは、聖典の教えるような、心の静けさをもたらす効果があるのではないかと言います。
第3章は、インドの伝統医療・アーユルヴェーダ入門編です。
カレーというものはいろんなスパイスやハーブが入っていて、健康によいけれど、
毎日同じカレーを食べれば健康になるわけではありません。
インドの古い時代から大切にされてきた医食同源の思想について、古代の文献チャラカ・サンヒターに倣い、
状況に応じてバランスのよいスパイスを摂取することの重要さを学びました。
地域ごとのカレーの特色についてもご紹介いただきました。
そんな中で、1つの疑問が浮かびます。
果たして、イギリス発祥という説もあるバターチキンカレーをインド料理と言ってもよいのか?
そして最終章では、バターチキンカレーの起源からカレーの定義を考えていきました。
カレーという言葉は新しく、永遠の聖典である聖典ヴェーダには、カレーという言葉は出てきません。
よって、人間が作った言葉である「カレー」については、絶対的に正しい意味はありません。
何が本来のカレーかなんていう区別はやめて、
みんながそれをカレーと呼ぶなら、それはカレーでいいのです。
物事を区別する、物事に執着することが苦しみの本質的根源なら、カレーとカレーでないものを区別することも苦しみの原因です。
カレーは無区別、
カレーは無限、というお話でした。
ユーモアと発見があふれるご講演は、ところどころで起こる会場の皆さんの笑い声が印象的な、
刺激たっぷりの時間となりました。
◯キッチンカー「カリーガール」の様子
先生のご講演に楽しく学び、すっかりカレーが食べたい気分になったイベント参加者の皆さんと、
珍しいキッチンカーに集まった長蛇の列で、「カリーガール」は大盛況。
こちらは、岩崎先生も召し上がったカリーガールの定番メニュー「ホクホク豆カレー」。
ホクホクとした触感の豆類と、スパイスの効いた味わいで大人気でした。
【店舗情報】
The CAFE / eat salon (ザ・カフェ イートサロン)
愛知県名古屋市昭和区山手通1-25 山手ヒルズ 1F
<営業時間>
月・火・木・金・土・日
11:00 – 15:00(L.O.14:30)
<TEL>
052-836-0201
名古屋大学にほど近いことから、学内でもファンの多いお店です。
気になった方はぜひ、お店でおいしいカレーを堪能してみてください。
◯ランチタイム&質疑応答コーナー「教えて!岩崎先生」
カレーを楽しみながら、参加者の皆さんから事前にいただいた岩崎先生への質問にご回答いただく質疑応答コーナーを開催しました。
その前に、なんと、岩崎先生からカレーを手で食べる方法を実演&レクチャーが!
カレーを手で掬う際の指の運び方のコツなど、細かに教えてくださいました!
質疑応答中の様子。
質問(複数ある質問より、一部抜粋):
――インドの歴史にカレーがどのように影響したのかご教示いただきたいです。
岩崎先生ご回答:
「きっとこちらは因果関係が逆で、カレーによって歴史がどう変わったかというよりも、
歴史の変化によりカレーがどう変わったかということの方が大きいのかなと思います。
やはり、歴史によりカレーは大きく変わっていてきて、たとえば最近はやりのビルヤーニなどは、
イスラムによる支配がなければ考えられない食べ物・ムガル料理です。
ああいった歴史があって、こういうカレーができた。
北インド南インドの分断があって、それぞれの風味の違いがある、
今日のバターチキンも、イギリス支配の結果として出てきたものと言えるでしょう。
カレーを見ていく中で、そこにインドの歴史が見えてくる、ということもあります。」
楽しいご講演と、事前にいただいたたくさんの質問にご回答いただきました岩崎先生、ありがとうございました。
◾️来場者の方のコメント
ご来場いただいた皆様からも感想やコメントをいただくことができました。
ありがとうございました!
・インド哲学というなじみのない考え方を、
日常生活と関連付けて話していただいて、共感できる部分もあり面白かったです!
・カレーの定義がハッキリしていないことから、いろいろな学びがありました。
・今後の開催があったら、岩崎先生はレギュラーでご登壇お願いいたします!
◾️ご挨拶
改めまして、カレーなるスパイス・オブ・インサイト The “Curryful” Spice of Insight ~カレーとイノベーションの美味しい関係~にご参加いただきました皆様、
岩崎先生、キッチンカー「カリーガール」の皆様に御礼を申し上げます。
皆様、誠にありがとうございました!
今後もTOIC NAGOYAはオープンイノベーションの生み出す出会いの場として、皆様のあらゆる「願い=Wish」に寄り添い、人との「出会い= Knot」を生み出して参ります!
ぜひ皆様の「Wish」をTOICにお寄せください!
TOIC NAGOYAにて皆様のご来館をお待ちしております!